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アメリカ書の旅(下)

先日のバークレーの旅を日本海新聞へ文章が掲載されました。
掲載の模様と
全文を掲載いたします。

日本海新聞
2010年6月10日

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4月24日は、サンフランシスコから160キロ程離れたコッブ山の護摩堂に出かけた。

この山はレアリー恵照師が20万坪の山中に行者の峰道を造り、比叡山の回峰行をまねた道場としようとしたもので、護摩堂も山道も手造り、自分達の住居も手造りと何でも自分で作ってしまう人であるが、驚いてしまうことばかりであった。

護摩堂の落慶には各地から約60人ばかりの人が集まっていたが、中にはかつて美智子妃殿下の英語の講師をされたという87歳のジャニー・トリンクル女史の姿も見えていた。
護摩堂には事前に送っておいた私の書や絵が壁に飾ってあり、異国の地に渡った私の心の分身がこうして一人でも心の救いの役に立てればありがたいことだと思った。
レアリー恵照師は後日手紙で礼状を下さり、書や絵の奥深さに感謝して喜んで下さった。

記念の護摩は比叡山の千日回峰行大行満上原行照師が導師を勤め、見事な護摩や加持が行われ、落慶にふさわしいものであった。
この見事な護摩はまさに天から舞い降りた行者が、天地の神々と交信するが如く、その加持はまた参拝者の心を洗うが如くであり、これこそもっと多くの人達に見せたいものだと私は思った。

25日、バークレー市内にある浄土真宗仏教センターの理解と協力を得て、バークレー校で行ったと同様の書の講演とデモンストレーションを行った。
この仏教センターのあるこの地域、いわゆるベイエリアには書道協会もあり5百人程のメンバーがいるという。その元会長アン・マリー女史は50名ばかりの会員を引き連れて駆けつけて下さり、代表してあいさつをしていただいた。

この日はアメリカ在住のシートンホール大学准教授の大須賀慈真師の総合司会のもと、米国仏教大学院アメリカ浄土真宗研究所長デービッド・松本博士が歓迎のあいさつで、「日本書道会のスーパースター柴山先生をお招き出来たことはバークレー市民の誇りである」とまでおっしゃって下さった。

ベイエリアのアン・マリー女史は講演後、私の「遊」の作品解説に、遊の進行の最初から中間とエンディングに重きをおいた動きや、初めの出発と最後の終筆をどのように描き切るかが大事という私の話に共感していたと通訳された。

この日のデモンストレーションには米国カリフォルニア鳥取県人会の人達も10名ばかりおいで下さり、代表してカワバタ氏が流暢(りゅうちょう)な英語であいさつ、鳥取から来た人達と交流していただけた。

中でも小橋陽子氏は北栄町の出身で大変喜んで下さったが、その時の人々の様子を

Once in a life time opportunity
(こんな機会は人生で二度とないよ)

という言葉を何度も聞いたと手紙を寄せていただいた。

さて最後のデモンストレーションは大きなホールで180cm×360cmの大紙面で「照」一字を一気に書き上げ印を押したが、一島先生が一生懸命「一隅を照らす」の「照」だと通訳して下さった。
私としては文字の意味はもちろんであるが、書の内容である豪快さと繊細さ、そして明るく勁(つよ)くたくましく、そんな願いが書に託されていることを知って欲しいと思った。

また会場で鳥取から応援に馳せ参じた女性達の煎茶や抹茶の一服のサービスは、青く高く晴れ上がったカリフォルニアの空のごとく清々しいものを人々に与えたようであった。

世界一の経済大国アメリカ。地球上の一番豊かな国アメリカ。そこに行ってみて、人々の姿を見て感じることは、人をうらやむことは何もない、自分のやるべきことを自信を持って堂々と生きぬくことだけだと青い高い空を見ながら思ったのである。


写真は日本海新聞に掲載されたものを提供して頂きました、ありがとうございます。

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