ホーム > ブログ > アメリカ書の旅(上)

アメリカ書の旅(上)

先日のバークレーの旅を日本海新聞へ文章が掲載されました。
掲載の模様と
全文を掲載いたします。

日本海新聞
2010年6月9日

クリックで拡大します。

アメリカ書の旅(下)はこちらをクリック

4月末米国に行く機会を得た。
これは京都の赤山禅院という叡山で千日回峰行を満行した人の住する寺で5年間修行して米国に帰り、米カリフォルニアのコップ山に護摩堂を手造りで建てたレアリー恵照師の落慶法要にあわせて、カリフォルニア州立大バークレー校東アジア研究所、米国仏教大学院、アメリカ浄土真宗研究所などが共催して「仏教と書道文化の講演と揮毫」と題してシンポジウムが開催され、そのメーンとして書が取り上げられ、その書の講演と実演を私が担当することになったからであった。

この話はレアリー恵照師が加州大学東アジア学部の日本学センター長であるダンカン・ウィリアム教授と旧知の仲であることから、この大学の中で仏教や書について語るというシンポジウムが計画され、そこに大正大学名誉教授の一島正真師の縁でニューヨークからも十数名が参加することになった。

一島正真師とは三十数年前、私が初めて海外個展を米国ハワイホノルルで開催した時、天台ハワイ別院に赴任されていて、この個展に大変なお世話になって以来、種々交流のある国際派の先生であるが、この一島正真師より書の代表として米国まで行ってくれないかと声をかけられたのが発端であった。

人間の縁の不思議さありがたさを感じるが、特に外国の場合どんなに自分がやりたいといってもすべてが実現出来るものではない。ましてこんな書を中心にすえた外国人を相手のシンポジウムに選ばれるという幸運は二度とないことだと思わねばと思ったのである。

4月23日午前中からバークレー校では大正大学の教授連をはじめとして、ヴァージニア大教授のポールクローナ博士の「天台宗僧侶の行と教育カリキュラム」とか、東北福祉大学元教授のジョン・スティーブンス教授の「書から分析する天台書道史」などの講演があった。

私はジョン・スティーブンス教授の話を聞いたが、伝教大師最澄の書に始まり豪潮上人の書や白隠の書、円相等々を取り上げ書の説明をしているのに驚かされた。というのは白人が仏教を語り、そして書の文化を語る、その姿に驚くのであるが、時代もここまで進んだのかと思うのであった。

日本人が身近な自分達の文化の価値を見失いがちである今日、自分達の身の回りをしっかりと大切にしなければと思うのである。そして書の置かれた位置も、自信を持って日本の文化の中心であることを自覚しなければならないのだと思った。

さて、大学での私の書の講演は急な話ではあったが、事前にストックしていた作品を選び出し、仮表具をして簡単にパンフに英訳を付したものを用意し、それを元にCDを作ってパワーポイントで映像を映し、作品も同時に開いて見せての話であった。

当日の通訳はニューヨーク別院住職夫人の珠美師が実に見事な通訳をしていただけた。聴聞の人々は日本の比叡山から栢木寛照師をはじめ大行満の上原行照師、元の天台宗務総長西郊良光師、また大正大学の教授連、そして鳥取からの参加者十数名、ニューヨークから十数名、現地の人々等々、まさに白人黒人、黄色人とさまざまの人達であった。

私は私の作品の説明の前に少し全般的な書の話を、そして少字数、あるいは象書の話をして近代化した書の姿を見ていただこうと思ったが、これがうまく伝わったかどうかわからない。しかし、名通訳によって皆興味津々というところであった。

デモンストレーションでは五㍉程の下敷2枚を持参し、その上に180cm×180cmの紙を敷き、淡墨で「山」をダイナミックに書き上げたら感嘆の声と同時に大きな拍手がいただけた。周りの人々から握手やよろこびの声を掛けられたが、やはり実演をしなければ展示だけでは人々に訴える力が弱いのだと思った。その後色紙をプレゼントするといったら行列が出来てしまったが、これもまさに草の根の国際交流であった。


写真は日本海新聞に掲載されたものを提供して頂きました、ありがとうございます。

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://www.houkai.info/blog/62.html/trackback
トラックバックの送信元リスト
アメリカ書の旅(上) - 柴山抱海 より

ホーム > ブログ > アメリカ書の旅(上)

アーカイブ


ページの上部に戻る